【第1回】生体認証縁切寺 カード経費との縁切り

カード経費との縁切り

生体認証って、カードだけでは守りが心配なところだけにお金をかけて設備するものだ

と考えていませんか?

第1回「物理セキュリティ縁切寺」では、生体認証を使うとカード認証より費用が安くなるケースについてお話します。

大企業をはじめ多くの企業で、ICチップ入り非接触カードの社員証、入館証、通行証などを使った出入管理や出退勤管理が広く利用されています。
カードを読取機にかざすだけで瞬時に本人確認(認証ともいう)ができます。
極めて精度が高いので、認証拒否されたり他人と間違われることはめったにありません。

 


次にカード利用システムの経済的側面

を考えてみましょう。

厚生労働省平成23年雇用動向調査によると、日本の常用労働者の年間平均離職率は13%です。
大企業ではこの離職率はさらに低いでしょう。
大企業では、カード利用システムの初期導入コストはそれなりにかかりますが、いったん導入してしまうと、社員の離職などに伴うカード新規発行、抹消、回収などにかかる年間経費はそれほど大きなものではなく、離職率が大幅に増えない限りこの経費が問題になることはなさそうです。
離職率がもっと高いと想定される中小企業でも、あまり問題にしている様子はありません。


一方で、全労働者数の4分の1を占めるパートタイム労働者の年間平均離職率は24%

と、常用労働者の2倍を超えています。

離職率が高いと、お金を取り扱う職場、企業情報・顧客情報を取り扱う職場、食品系職場などのうち、就業者の多くがパートタイム労働者で占められている職場では出入管理と個人認証でのカードシステム利用にやや心配なことがあります。
年間のカード発行費用のほか、離職の場合のカード返還手続きにかかる費用がバカになりません。

日本では高機能で高価なタイプCとタイプBカードを使う職場が多いのでなおさらです。

パートタイム労働者の場合だけでなく、カードシステム運用に予想以上の経費がかかるケースはほかにもあります。

以下はその例です。

1) 職種の異なる労働者が一定期間ずつ就業する建設現場の入構管理
2) 2~4年で1回転する文教分野の学生管理
3) 施設に定期・不定期的に出入する社外清掃担当者、保守担当者、短期駐在者などの管理
4) 大企業本社施設に繰り返し訪れる外部ビジターの入場管理
5) 入館証忘れ社員への入場許可手続き

これらのケースでは、カードシステムを使うとカード経費のほか発行抹消管理に手間がかかるほか、対象者間の貸し借りやカード悪用が発生する心配もあります。
企業の管理者は、費用が嵩むうえカードの貸し回しリスクのあるカードシステムとは縁を切って、人間系管理に委ねてしまいたいのが本音ではないでしょうか。

 


結論を急ぐと、ここに指紋、静脈、顔、虹彩など、生体認証の出番があるのです。

カードの代わりに、あらかじめ登録した個人の生体属性を機械が認証する仕掛けを導入できれば、毎年のカード関連経費が大幅に削減できることになります。

「生体認証にすると経費が安くなる」とはとてもいい話ですが、カード認証システムと縁を切って、生体認証に替えたら、ホントに使い勝手や利便性を下げずにカード認証のときと同じ正確さが保たれるようになるのでしょうか?
実は、ここに生体認証における他人受容率(故意または誤って本人であると認証してしまう割合のこと)の問題があり、簡単にはいかないのです。

次回「物理セキュリティ縁切寺」第2回では、「【第2回】生体認証縁切寺 他人受容との縁切り」と題してこの問題を掘り下げていきます。


【企画・編集】 株式会社ロックシステム 企画室

  【文】 顧問 長瀬 泰郎

ナ/長瀬