【第4回】生体認証縁切寺 触る認証との縁切り

生体認証縁切寺

触る認証との縁切り

前回(第3回)の補足=ハイブリット方式について

前回まで、「他人受容率」と「本人拒否率」について説明をしてきましたが、ひとつ補足があります。

「他人受容率」や「本人拒否率」を低く抑えるために、入力方法や認証アルゴリズムが全く異なる2つの認証方式を組み合わせる手法(ハイブリッド方式)についてです。

例えば、それぞれ実用上の「他人受容率」が0.1%(千人に一人のエラー)もある2種類の生体認証方式を組み合わせて、2つともOKにならないと認証しないという方法です。

このときの「他人受容率」は、千分の一掛ける千分の一、つまり百万人に一人(0.0001%)となり、かなりの高精度が得られます。

しかし、どちらかの認証方式で拒否されるともう片方で認証OKとなっても結局は「本人拒否」になります。

このときの「本人拒否率」は、それぞれの認証方式の実用「本人拒否率」の和になるので、日常利用の中で認証拒否されるケースが増えてしまいます。

しかも、認証に要する時間は、それぞれの方式による時間の和となるか、どちらか長い方の値となります。

逆に、どちらか一方の認証方式がOKになったら全体の認証をOKとする組合せ方があります。この場合は、「本人拒否率」は低下し、「他人受容率」は悪化します。

ハイブリッド方式では、「他人受容率」と「本人拒否率」の2つの指標を同時に改善するのはなかなか難しいので、どちらを改善するか、狙いを定めて利用する必要があります。

生体データの入力方法

さて、お待たせしました。今回の生体認証縁切寺では、生体データの入力方法についてお話します。

一般に、指紋を見る指紋認証、手のたなごころのしわを見る掌紋認証、手全体の形を見る手形認証、手のひら、手の甲あるいは指内部の静脈パターンを見る静脈認証は、指や手を装置に触れさせることによって装置に自分の生体情報を読み取らせます。

指紋では、ガラスなど透明パネルまたは平板電極の上に指を置くか、線状のラインセンサーの上に指を滑らせます。最近では指の付け根をガイド部品に当て、指紋情報の読み取りそのものは非接触で行う商品も出ています。

掌紋ではガラス板、手形では平板の上に手のひらを置きます。

静脈は、透明パネルの上に指を置くか、透明パネルに触れず手首や手の甲をガイド部品に当てて手の静脈情報を読み取らせます。

一方、装置に触れなくても生体情報を読み取らせることができるのは、顔認証と虹彩認証です。

可視光または近赤外線カメラで撮像するか、赤外線ビームを顔に当てて顔の立体パターンを読み取らせます。
虹彩の場合は、近赤外線カメラで撮像したものをデータとして使います。

触れるタイプと触れないタイプどっち?

いったいどちらの方法が優れているのでしょうか?

装置に体の一部を接触させる方法では、装置に指や手を触れた時に認証をスタートさせるので、被験者(自分を認証してもらおうとする人)にとってメリハリがはっきりした操作になります。また、装置が小型で場所をとらないので、狭いスペースでも設置できます。

その一方、ユーザーの中に「他人が使ったあとに触るはいやだ」とか、「被疑者扱いは失礼だ」などの拒否反応を抱く場合があります。

また、必ず立ち止まらないと認証できないことに不都合が生じる場合があります。

また、手形認証以外では手袋をしたままでは認証できないので、使い勝手が悪いと評されることもあります。

非接触の場合は、文字通り装置に触る必要がないので、便利で自由な印象を被験者に与えます。

また、衛生上の条件がある場合にも適しています。商品によっては歩行しながらでも生体情報を入力できるものもあります。

一方、どの位置、どのタイミングで、どんな表情をすればいいか、慣れるまでに時間を要する欠点もあります。

非接触方式のほうが、便利そうですが、注意しなければならない点もあります。

接触式の入力装置は小型で安価なものが多いのですが、非接触式は辞書ぐらいの大きさがあり、入力装置だけの価格でも接触式に比べて数倍以上高くなります。

非接触式でもう一つ気をつけなければならないのは、外光、特に太陽光による影響です。接触式は装置を簡単に遮光するだけで問題ないのですが、非接触式を屋外や半屋外に置くと、朝日や夕日の差込によって「本人拒否率」が増加することがあります。

遮光しようとすると、認証ブースを作ったり、太陽光の影響が及ばない場所に移動するなど、対策が大掛かりになります。

弊社が販売する虹彩認証装置には屋内限定型と屋外対応型の2つのタイプがあり、屋外対応型なら炎天下でも問題なく機能させることができます。

まとめ

ここからは宣伝としてのまとめですが、虹彩認証装置は、「他人受容率」を事実上ゼロに抑えながら、同時に「本人拒否率」も低くできる、極めてバランスの取れた商品と言えます。現代の生体認証商品が抱える問題点のほとんどを解決したことにより、高度なカードを使わずに何万人でも総当たり認証を高速かつ確実に行うことができる商品ということができます。

この稿を読まれたことをきっかけに、コストメリット、使い勝手、精度の三拍子そろった虹彩認証についてご検討いただくようお願いいたします。

次回

次回の物理セキュリティ縁切寺は最終回です。1回読み切りの【第5回】映像監視縁切寺でお送りします。

具体的なテーマは「死角との縁切り」です。

どうぞお楽しみに。


【企画・編集】 株式会社ロックシステム 企画室

  【文】 顧問 長瀬 泰郎

ナ/長瀬