虹彩認証ゼミナール 再開6回シリーズ[再開1回目]

虹彩認証と誕生日のパラドックス

 

2015年1月から6月まで6回にわたり、虹彩認証について連載しました。今月は復活第1回です。

虹彩認証のアルゴリズムを発明した、イギリス、ケンブリッジ大学のジョン・ドーグマン教授は、ある講演会で「誕生日のパラドックス」の話をしていました。


Wikipedia

「誕生日のパラドックス」とは何か、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を引いてみましょう。

<以下、原文のままです>

誕生日のパラドックス(たんじょうびのパラドックス)とは「何人集まれば、その中に誕生日が同一の2人(以上)がいる確率が、50%を超えるか?」という問題から生じるパラドックスである。「鳩の巣原理より」、366人(閏日も考えるなら367人)集まれば確率は100%となるが、しかしその5分の1に満たない70人が集まれば確率は99.9%を超え、50%を超えるのに必要なのはわずか23人である。

誕生日のパラドックスは論理的な矛盾に基づいているという意味でのパラドックスではなく、結果が一般的な直感と反しているという意味でのパラドックスである。

同じ誕生日の人が1組以上いる確率

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 ある集団に同じ誕生日のペアがいる確率。23人で確率が0.5になっているのがわかる


0.27% <ドーグマン教授の説明>

365(366)分の1は、0.0027つまり0.27%です。

ドーグマン教授によると、虹彩認証を除く生体認証商品の場合、精度がとても高い商品でも、他人のデータと自分のデータが一致する実用確率(他人と間違える確率。他人受容率)は0.3%ぐらいだそうです。ちょうど「誕生日のパラドックス」で他人と自分の誕生日が一致する確率とほぼ同じです。

そう考えると、上のグラフが気になると言うのです。

つまり、70人の社員が働いている職場に生体認証装置を入れて全員を登録し、入室管理を行うとすると、「異なる誰かと誰かが同じ人物と判定されてしまうケースが1組以上ある」確率がほぼ1なのです。

ふつうに考えると、0.3%の他人受容率なら、社員の一人である自分が誰かに間違われる確率が1以上になるのは334人以上いる職場じゃないかと思ってしまいますね。ところが、この職場の管理者の立場からすると、「異なる誰かと誰かが同じ人物と判定されてしまうケースが1組以上ある」のは、わずか70人の職場で起きるというです。上のグラフを見ると、23人いる職場が2つあると、どちらか1つで「異なる誰かと誰かが同じ人物と判定されてしまうケースが1組以上ある」のです。

ドーグマン教授にだまされたか、脅かされているような気がしますが、手品ではなく、単純に確率の問題なのです。


12億人の虹彩認証 <インド>

さて、ここからは、虹彩認証の優位性を訴えるドーグマン教授の説明骨子です。

現在、インドでは、12億人の国民一人一人に対して、カードなどを使わないIDを付与しようと、UIDAIという虹彩登録プロジェクトが精力的に進められています。2015年の秋までに、9億3千万人の登録が終わり、現在毎日新たに100万人の人が登録されています。

このとき、すでに、ある県で虹彩登録した人が偽名を使って他の県で再び登録することを防ぐために、毎日、登録した100万人の人全員について、過去に登録済みの9億3千万人のデータと比較しています。実に、毎日100兆回の比較照合を行なうのです。

それで、不正やデータ登録ミスなどのケースを除いて、これまで一度も異なる誰かと誰かが同じ人物だと判定されたことはないそうです。

ドーグマン教授によるアルゴリズムを用いた虹彩認証は、事実上誤認証が報告されたことがないという驚くべき結果が、インドのUIDAIプロジェクトで実証されつつあるのです。

このプロジェクトのことはネットで話題になっているので、ぜひ覗いてみてください。


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【企画・編集】 株式会社ロックシステム 企画室

  【文】 顧問 長瀬 泰郎

ナ/長瀬