虹彩認証ゼミナール 再開6回シリーズ[再開2回目]

顔と虹彩、どっちがどっち?

人混みのなかで

私はときどき駅の改札口の前で誰かと待ち合わせをすることがあります。

大型の改札口が一つだけあるJR川崎駅に約束の時間より少し早く着くと、改札口前ホールの時計台の下に立って、改札口から出てくる人々の波の中に待ち合わせの相手がいないか探します。

特に、相手がお客様や目上の人の場合は、早く見つけようとして目を凝らして探します。

ところが、しばらく探していると、人々が次から次に出てくるのでだんだん目が疲れてきて、しまいには目がまわってしまいます。

ですから、最近は自分で探すのをやめ、なるべく改札口を出る人の目線から見て目立ちそうなところに立って、軽くうつむいてスマホなどを見るようにしています。

そうして先方が私を見つけてくれるようにするようになりました。

たくさんの人々の顔の中から特定の人を探すというのは結構たいへんなことなんですね。


今話題の顔認証

最近、顔認識が色々なところで話題になっています。

特に、人が多く集まる場所をカメラで撮影し、その顔画像を使って特定の人物を見つける目的での活用が期待されています。

性能のよい仕組みだと、認識率は99.7%ぐらいだそうです。

100%から99.7%を引いた残りの0.3%が「誤認識率」、つまり、特定人物Aさんに似た人物も一緒にAさんとして認識される確率になります。

顔画像が1,000枚あると、Aさんらしき人が3人ぐらい、1万人だと30人、10万人なら300人出てくることになります。

Aさんらしき人が完全に一人までに絞り込まれなくても、最後に人間の目で確認すればいいので、一人ひとりを人間が見て確認するための手間、疲れ、かかる時間などを考えれば、顔認識を使うことによってこれまでとはくらべものにならないぐらい効率が上がります。

対象者が完全にカメラのほうを向かず、多少違う方向を向いていても認識できる技術も発達してきているので、犯人、行方が分からない人、特定の人などを素早く探し出す方法として注目されています。


虹彩認証は?

一方、虹彩認証は上のような利用には全く向いていません。

虹彩の大きさがとても小さいのと、日本人の濃い褐色の虹彩はテレビのリモコンなどに使われている近赤外線の光がないとうまく撮影できませんし、そもそもカメラ目線になっていないと、きれいな虹彩画像が取れないからです。

これまで何回かお話してきましたが、虹彩認証が力を発揮するのは、ちゃんと読み取り装置のほうを向いて行う出入管理や個人認証(自分が自分であることの確認を願い出ること)の場合です。

認証の対象者が1,000、1万かそれ以上で人の目を介さず認証が必要な場合の生体認証では、事実上、誤認証率が120万分の1よりも少ないドーグマン方式の虹彩認証しか使えないと言い切ってもいいでしょう。


用途を理解する

顔認証は、上述した絞り込み検索のための利用、あるいは1対1認証ないし少人数の総当たり認証の世界ではすばらしい力を発揮しますが、多くの対象者から1名だけを特定する使い方の場合は、どうしても避けられない誤認証率のことを常に頭に置いて利用しなければならないと思います。

クレジットカード決済で商品を購入するとき、海外では売り場で署名したサインとカード裏側のサインが違っていないか店員が確認していますが、このような場面で総当たり認証によって顔認証を利用するときは、海外と同じような人の目としての店員の確認のほか、誤認証などによる決済事故に対する円滑な処理スキームを組み合わせることが必要となってくるのではないかと推測しています。

顔と虹彩どっちがどっち?

比較検討の参考になれば幸いです。


INDEXに戻る

【企画・編集】 株式会社ロックシステム 企画室

  【文】 顧問 長瀬 泰郎

ナ/長瀬