虹彩認証ゼミナール 再開6回シリーズ[再開5回目]

絞り込み検索と認証

注目の技術

最近、防犯カメラあるいは監視カメラに写った多くの人の顔や自動車の映像から、特定の人物や車を抽出する技術を応用した商品あるいはソフトウェアが各方面で注目を集めています。

私は大きな駅の改札口の前で人と待ち合わせしたことがあります。
電車が到着するたびに大勢の人がいくつもの改札機を通って表に出てくるのですが、じっと目を凝らして目標の知人がいないかどうか確認するのです。
しかし、10分間ぐらい経つと、目が回るし、疲れて集中力が途切れてしまいます。

この作業をカメラと映像認識で行うことができれば、事件の容疑者を見つけるための作業が大幅に軽減化されます。


AFIS(Automated Fingerprint Identification System)

もともとは、事件現場に残された遺留指紋と同じものが、既に保管されている膨大な指紋データベースの中にないかどうか、探したい、という課題に対して開発されたAFIS(Automated Fingerprint Identification System)に同じ考え方があります。

保管データと遺留指紋を一つ一つ突合せて確認する作業は膨大な人手と時間を費やします。
これを機械化して、膨大な数の指紋から人間の目で確かめられるぐらいの数にまで絞り込むのです。

これの「顔バージョン」が顔の検索絞り込みシステムです。世界的なテロ活動への対策、あるいはオリンピックなどの大型イベントでのセキュリティ対策として期待されています。


誤認証率0.3%は多いか少ないか?

一方、顔の検索絞り込み、あるいはAFISでは、多くのデータから一人の人間にまで絞り込むことはできません。

顔については、ある大手企業のシステムの場合、99.7%の認識精度があると言われています。100%からこれを引いた残りの0.3%は誤認証の確率です。
データベースが千件ある場合は3、1万件なら30、10万件で300、100万件で3,000となりますから、検索絞り込みシステムを使う場合、これらの誤認証結果については、人の目や他の情報を使って、目指す目的の顔に該当するかどうかを確認しなければなりません。
(新宿駅で利用した場合、一日の乗降客数342万人とすると、一日あたり約1万人は誤認証される計算です。)
システムだけで一人を特定することは、他の絞り込み手段と組み合わせたりしない限りは極めて困難だと言えます。

それでも、全てを人が行う場合に比べると300分の1ぐらいになりますから、社会的には大いに役に立つものだと言えます。


虹彩認証の利用価値

ここで虹彩認証に話を戻しましょう。

現在の虹彩認証技術では、競技場のカメラに写る何百、何千という対象者の虹彩を検出することはなかなか困難です。
2mぐらいまでなら認証できるものがありますが、それ以上の距離に対応できる商品やシステムも販売されていません。
虹彩認証は、あくまで、虹彩認証装置の正面に顔を向け、目をしっかり開けて、管理システムに対して、自分を「自分である」と申告するためのものです。

その代わり、虹彩認証の精度はどんな悪条件であっても120万分の1よりも悪くなることはありませんから、認証してもらいたい本人が協力的に装置正面に向き合う限り、入国管理、出入管理、本人確認などで、何万から何億というデータベースからただ一人だけを見つけて認証することができるのです。


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【企画・編集】 株式会社ロックシステム 企画室

  【文】 顧問 長瀬 泰郎

ナ/長瀬