<第10回>VIVA、CASINO! カジノ・セキュリティ研究

2020年東京オリンピック、2025年大阪万博・・・
これらに次ぐ景気拡大の起爆剤として目される“統合リゾート(以下IR)”。
施設内の一部にカジノを含むことでその候補地をはじめとして事業者、開発費用、治安や依存などの議論があるため、従来のリゾート開発とは異なる色彩を放ち注目を浴びています。
保安・防犯に始まり情報保護や内部不正の抑止までカバーする“セキュリティ業界”においてもIRは目を離せないビジネスのひとつ。
新しい文化形成の過程上では新しい脅威が生まれるものですが、この世界を巻き込む大きな挑戦を”物理セキュリティ”の視点からみなさんと研究していく「VIVA、CASINO! カジノ・セキュリティ研究」連載コラム。
最新の物理セキュリティシステムと海外事例を、なるべく肩肘張らず平易な言葉でわかりやすく発信していきたいと思います。

<第10回 目次>
1 横浜 統合型リゾート産業展
2 マカオにおける新型コロナウィルスの影響
3 ネットワークカメラ映像解析ソフト BriefCam

1 横浜 統合型リゾート産業展

去る1月29日、30日の両日、パシフィコ横浜で”第1回 横浜統合型リゾート産業展”が開催されました。IR事業に絡む汚職事件の影響でその是非を巡って意見が分かれる世論ですが、横浜も反対派が大きく声を上げており、展示会前の広場は物々しい雰囲気に包まれていました。
しかしIRに対する期待から活気にあふれていた会場内。去年の6月に大阪で開かれたIR産業展と比べ、横浜の産業展はより観光拠点としてのIR像を打ち出していたため、大阪に比べると派手さは少なくIR事業者やゲーミング事業者による賑やかなショーも比較的落ち着いていましたが、その分現実的な路線としてIRの推進が具体的な事案として捉えられている様子でした。横浜市の平原副市長による基調講演や、マリーナベイ・サンズCEOジョージ・タナシェビッチ氏らIR事業者の講演など、横浜IRに寄せる気概と決意がみなぎるセミナーも大いに盛り上がっていました。
また、東洋大学国際観光学科・佐々木一彰教授や横浜国立大学都市イノベーション研究院・川添裕教授のアカデミックな視点からのIR考は、カジノのマイナスイメージが先に立つIR論議において、ギャンブル依存症の実態や最新の対策による効果、歴史や文化的側面から俯瞰したIRの新しい価値観など考えさせられるものでした。

主催者発表によると国内外45社が出展し、来場者数は2日間でおよそ1万人とのこと。国会では野党側からの廃止法案も提出され紛糾続くIR事業ですが、展示会の熱気は今後の展開を後押しする一因となることでしょう。

2 マカオにおける新型コロナウィルスの影響

さて、2019年末に世に出、世界を混乱に貶めているCOVID-19・新型コロナウィルスによる肺炎は、この原稿を書いている2020年2月14日現在も治まる気配がありません。このウィルスは重篤な肺炎でもって人々の健康に影響を及ぼしている他、中国を中心として経済の鈍化を招き負の影響力を強めています。世界有数のカジノを有するマカオにとってもこのウィルスは脅威であり、マカオ政府は2月4日、2週間のカジノ及び関連施設の営業停止を発表しました。

公衆衛生上当然の措置ですが、マカオにおけるカジノは関連収入が約4兆円(2018年)、GDPの約8割を占めるというマカオ経済で最も主力となる事業です。既に1月の観光客数は前年比87%という落ち込みとのこと、営業停止期間並びにそれに続く影響はマカオ経済への大きな打撃となりそうです。支援策として政府は商品券発行によるマカオ市場経済の活性化、観光産業に対する税の限定免除等いち早く手を打っています。とは言えウィンやサンズ、ギャラクシー、メルコなど、マカオの大手IR事業者は日本のIR展開にも意欲を燃やしており、事態が長引けば日本版IRへの影響も無いとは言い切れません。衛生上・経済上含めあらゆる側面から、COVID-19の猛威が一刻も早く沈静化することを祈ります。

3 ネットワークカメラ映像解析ソフト BriefCam

ところで話戻って先のIR産業展ですが、セキュリティ分野ではやはり監視カメラ・生体認証やマイナンバーによる個体識別技術が出展されていました。その中でCANONの映像解析ソフトウェア BriefCamは大阪のIR展でも出展されていましたが、その映像要約技術は今後の画像解析技術の発展の一翼を担うであろう製品でしょう。

”Canon ネットワークカメラ BriefCam 概要”より

https://cweb.canon.jp/webview/lineup/briefcam/index.html

入退セキュリティで利用される個体識別ログや監視カメラの映像ログは、プールすることは容易でもそのデータの利活用は難しく、現状のデータ解析、将来のマーケティング材料への昇華はAIの深化とともに期待値の大きい技術のひとつです。特に3次元動画はまずは当該動画の対象物を静止画として捉え、立体を構成する座標位置の取得や画像比較による移動速度の計測など様々な情報を介して解析します。BriefCamはその取得した情報を要約する機能に優れており、ユーザが得たい情報に瞬時にアプローチできるため実際の監視作業には非常に適していると言えるでしょう。

またBriefCamはイスラエルの企業です。イスラエルはご存知の通り、1948年の建国後も数度の戦争を経験しており、今でも国が毎年国民に防毒マスクを支給するほどの緊張感の高い国であると同時に、多くのテクノロジーの芽を生み出す現代における”ハイテクのメッカ”です。ことセキュリティの分野において世界でもトップクラスの知見・多くの情報を持ち得ており、その視点は安全大国日本とは大きくかけ離れています。Canonは2018年にこの会社を買収しましたが、日本とイスラエルの技術が今後セキュリティの分野でどのように交わるのかと言う点も楽しみなところと言えるでしょう。


VIVA、CASINO!カジノセキュリティ研究会