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コラム

[物理セキュリティの視点から視る消防管理]第2回 非常解錠本締錠

法令と物理セキュリティ

消防法 第17条
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
2020年代、新しい時代の特徴と感じられるものの一つに、「災害の多さ」が挙げられます。地震はもとより、度重なる豪雨や大型台風、激しい気候の変化による酷暑や冷害など我々日本人は最も「防災意識」を求められる時代を生きています。
(株)ロックシステムは物理セキュリティのプロとして、創業以来「防犯」をテーマに社会に貢献してきました。ともすると他者の侵入を許さない「防犯」は、災害時に他者の救助を必要とする「防災」と相反するものと考えられなくもありません。しかし、侵入経路も退避経路も同じ「出入口」。本コラムは身近な「消防管理」の観点から、消防を補助する物理セキュリティの在り方にアプローチしていきます。

2003年12月12日 名古屋住宅火災

2003年12月、愛知県名古屋市で4人の幼い子どもが死亡するという火災事故がありました。亡くなったのは4歳・3歳・2歳の男児3名と1歳の女児1名。母親の留守中に起きた子どもの火遊びに起因した、一酸化炭素中毒による事故。この被害を大きくした一因に、母親が室内出入口に設置した外鍵があります。自分の不在時、子どもが勝手に外に出て事故に合わないように・・・子どもたちを守るために設置したこの鍵は、鍵がないと内側からも開けられない構造でした。火災自体炎は上がらず、周辺住人も中に子どもが閉じ込められていることに気づかず、母親が帰宅して発見した当時、子どもたちは戸口内側で折り重なるように倒れていたとのことです。
なんとも痛ましい事故ですが、このような事故を防ぐために法令上ではどのように整備されているのでしょうか?

屋外への出口等の施錠装置

さて、では具体的にどのような機器を選定すれば、パニックオープン・パニッククローズといった機能を活かせるのでしょうか?ここでは機器選定のガイダンスとして、電気錠の種類についてご紹介します。
(屋外への出口等の施錠装置の構造等)

第百二十五条の二 次の各号に掲げる出口に設ける戸の施錠装置は、当該建築物が法令の規定により人を拘禁する目的に供せられるものである場合を除き、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。

一 屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口
二 避難階段から屋外に通ずる出口
三 前二号に掲げる出口以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの

2 前項に規定するもののほか、同項の施錠装置の構造及び解錠方法の表示の基準は、国土交通大臣が定める。

先に掲げた条文は、建築基準法施行令第125条の2、屋外への出口等の施錠装置の構造について定めたものです。若干読みづらいので平たく言うと、「避難経路上、屋外に通じる出口は、鍵を使用することなく出られること、またその扉の近くには、出る方法を表示すること」ということになります。
しかし非常時はともかく、平常時で出口をフリーにしてしまうと、防犯上問題は無いのだろうかという疑問があります。個人宅はもちろん、多くの人が利用するオフィスビルや商業施設では、災害時の避難経路と共に資産の保護を検討しなければなりません。災害時の安全性と平常時の防犯性、双方の要求をどのように考えたらいいでしょうか?

非常解錠本締錠

「非常解錠装置」は室内側から鍵のかけられた扉を外部から開けられる仕様になっている錠前の装置です。扉のノブやレバーなどについているサムターンがその役割を果たし、トイレや浴室などにも設置されています。
電気錠の大手メーカのひとつである美和ロック(株)製、DA-Eシリーズは、鍵がなくても解錠できる本締錠です。設置されている非常カバーを外してツマミを回して解錠、プレート式押し釦を押すことによって解錠、など操作性によって錠前の種類を選択できます。平時は保護具としてついているカバーも、再利用タイプ・破壊タイプなど用途に合わせてお選びいただけます。

プッシュオープンバー

また、病院や公共施設など不特定多数の人の出入りがある大型施設は、災害発生時、出口に避難者が大勢詰めかけてパニック状態になることも想定されます。バーを押すだけで解錠・開扉が可能なプッシュオープンバーもあります。バーは扉幅ほどの寸法があるため、暗闇での操作や押し合いになった場合での操作にも有効です。
海外では施設規模や地域によってこのプッシュオープンバーの設置が義務付けられており、一般的に広く知られている解錠装置となっています。

避難経路・非常口の検討

避難経路を検討する際、その前段として消防計画は必須です。どの出口が非常口になるか、その非常口に設置する錠前をどう選定するか、についても地域の火災予防条例に準ずる必要があります。建物の消防計画とのコンセンサスも重要となるため、選定・設置の際は所轄消防署に確認することが大事です。その上で、資産保護のために必要なセキュリティシステムの選択、運用効率の良い機器の選定をすることは、施設に安全性の高い付加価値をもたらすでしょう。

(株)ロックシステムは物理セキュリティのプロの知見と防火管理者の視点をもって、ユーザのみなさまの防災活動を支援し、運用について助言致します。

 

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