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コラム

[物理セキュリティの視点から視る消防管理]第3回 監視カメラによる火災防止

法令と物理セキュリティ

(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
2020年代、新しい時代の特徴と感じられるものの一つに、「災害の多さ」が挙げられます。
地震はもとより、度重なる豪雨や大型台風、激しい気候の変化による酷暑や冷害など我々日本人は最も「防災意識」を求められる時代を生きています。
(株)ロックシステムは物理セキュリティのプロとして、創業以来「防犯」をテーマに社会に貢献してきました。ともすると他者の侵入を許さない「防犯」は、災害時に他者の救助を必要とする「防災」と相反するものと考えられなくもありません。しかし、侵入経路も退避経路も同じ「出入口」。本コラムは身近な「消防管理」の観点から、消防を補助する物理セキュリティの在り方にアプローチしていきます。

ごみ処理場の火災

2022年2月、宇都宮のごみ処理施設で火災が発生しました。深夜午前1時52分頃発生した火の手が鎮火されたのは翌日午後4時。鎮火まで約38時間燃え続け、施設復旧は半年以上かかっており、復旧工事はおよそ12億円と言われています。この火災により宇都宮市のごみ焼却能力は著しく失われ、市民は50%のごみの削減を迫られました。さらにこの処理場が機能しない間、他の市町村へのごみ処理委託が必要となるため、運搬に係る費用も含め復旧工事とは別に多額の税金が投入されることになります。

宇都宮市HPより

クリーンパーク茂原でのごみの焼却ができなくなっています。ごみ排出量の5割削減にご協力ください。(更新日 令和4年2月9日)

クリーンパーク茂原でのごみの受け入れを再開しました。(更新日 令和4年12月24日)
火災事故防止のため、スプレー缶やライター、電池類は「危険ごみの日」に出してください!

https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/scene/1008453.html

この火災の出火原因はわかっていませんが、可燃ごみとして誤って出されたライターやスプレー缶、リチウムイオン電池などが原因ではないかと推測されています。
今、全国各地でこのようなごみ処理場の火災が発生しています。事故を防ぐにはもちろん、利用者がごみの分別に注意を払うことが一番重要です。しかし昨今ではボタン電池など小型化が進み、色々なところで使用されているため利用者が気づかず可燃ごみとして廃棄してしまうこともあり得ます。不測の事態に備え、施設側で何か対策を打つことはできるのでしょうか?
防火管理が義務付けられる防火対象物は消防法で定められており、実はその中にごみ処理場は含まれていません。
がしかし、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(=廃棄法)」の中で施設管理についても定められています。この法令の第21条に基づき、「廃棄物処理施設技術管理者」が存在します。より高度で専門的な知識を備えた有資格者によって施設の維持管理が行われているにもかかわらず、火災事故が多発していることは現代の抱える社会問題の一つと言えるでしょう。ごみ処理場火災の予防については、国や市町村などの行政機関や業界団体なども注視しており、近年、調査・研究、マニュアルの整備がさかんに行われています。

横浜市HPより

【危険】収集車の火災が多発しています!バッテリー内蔵製品は「燃やすごみ」に混ぜないでください!

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/gomi/tyokusetsu/default20220627.html

発火監視システム サーマルカメラ

ここでごみ処理場をはじめプラント設備など、巨大な施設を監視するカメラをご紹介しましょう。
サーモグラフィーで広範囲の温度分布を測定する監視カメラの存在は、皆さんよくご存知のことと思います。この機能と火災報知機を連動させ、素早く火災発生時に対応する「発火監視システム」を構築することができます。実際にサーマルカメラの画像を見てみましょう。

左の画面では右の画面の温度情報が見て取れます。アラームの発報はそのしきい値を任意で設定することが可能なため、種火状態の温度上昇を素早く感知し、また異常温度箇所を画像判定で火元と特定することができます。人が少なく火災発生に気付きにくい深夜帯でも、防災センターのモニターによるポップアップ、またはメール通知など遠隔地でも状況を確認することができます。

発火監視システム AI画像解析システム

また、サーモグラフィーでは捉えきれない煙の発生など、画像処理機能からその発生を検知することもできます。IpsotekのAI画像解析システムを追加することで、既存のONVIFカメラに煙検知など機能を付加することが可能です。

https://www.kjfellow.com/security/

Ipsotek AI画像解析システム

放火防止対策とリスク低減の有効性

ごみ処理場でなくとも、出火防止は重要な対策です。最も多い出火原因は放火であり、放火防止は施設管理上、積極的に取り組むべき事項です。敷地内の一部に、遊歩道などフリーアクセススペースを有する場合、死角部分の可燃物は悪意ある第三者の放火対象とされやすいでしょう。また、特定の人間のみが立ち入りを許されているオフィスや、多くの人が立ち入る病院・学校などの施設でも、適切な箇所に適切な侵入防止を実施することは放火の難を免れるためには有効です。
放火に次いで多い火災原因はたばこです。火種を残したまま吸殻をごみ箱のような可燃物に投げ捨てたり、寝たばこが知らぬ間に布団に燃え移ったりすることで多く火災が発生していることは、皆さんご存知のことと思います。煙が出ない状態でくすぶり続ける無煙現象は、時間が経ってからより燃えやすいものに燃え移るなど、その不始末に気付かないまま出火に至ります。そのようなリスクを低減させるものとして、監視カメラは死角を解消する上で、また予期せぬ出火を防止する上で役立つでしょう。
防火管理者は火災発生時における対応計画や教育訓練と並んで、機器の設備点検や可燃物の存置防止など施設の維持管理まで幅広くカバーすることが求められます。(株)ロックシステムは物理セキュリティのプロの知見と防火管理者の視点をもって、ユーザのみなさまの防災活動を支援し、運用について助言致します。

 

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